
バンドジャーナル1月号掲載記事
| いつも使っているB管トランペットより、管が短くて明るい音色をもつ 特殊管のトランペット。ピッコロ、Es管などを吹奏楽に加える意義とは? |
| Profile |
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| 東京佼成ウインドオーケストラ トランペット奏者 本間千也 ●kazuya Honma 1970年新潟県佐渡市生まれ。 県立佐渡高校、尚美ミュージックカレッジ専門学校卒業。シエナウイ ンドオーケストラ、神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別契約団員を経て、09年1月より東京佼成ウインドオーケストラ団員。そのほか、BrassConcept,THE BRASSなどの室内楽、ソロ、ミュージカル、スタジオ録音などの多彩な演奏活動を行う。尚美ミュージックカレッジ専門学校 非常勤講師。トランペットを杉木峯夫、津堅直弘、E.コードの各氏に、室内楽を稲川榮一、佐野日出男の各氏に師事。 |
山形交響楽団 首席トランペット奏者 井上直樹●Naoki Inoue 1969年東京都生まれ。 日大鶴ヶ丘高校音楽科を卒業。91年、日本大学芸術学部音楽科在学中に山形 交響楽団に入団。08年、山形交響楽団初代首席トランペット奏者 に就任。これまでにトランペットを福井功、C・シュリューター、大倉滋夫 ハネス・ロイビンM・グールドの諸氏に、室内楽を故永浜幸雄、宮川暉雄、故北爪利世の諸氏に師事。山形大学地域文化創造学科音楽コースのトランペット非常勤講師。ソロ、室内楽活動のほか、他オーケストラの客演奏者、スタジオ録音、アマチュア団体の指導、共演などで活動中。 |
| 吹奏楽での 特殊管のススメ | |
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井上 最近はオーケストラ・アレンジでも、原曲のサウンドに近い 音がするアレンジが多くなりましたね。でも、吹奏楽では弦楽器が ないぶん、限られた楽器の中で、さまざまな音色が必要になる。トランペットも、B管だけでは要求に応えるのが難しくなってきていると思います。 本間 確かに原調のままのオーケストラ・アレンジ曲は増えてきています。僕も最近コープランドの「ロデオ」でD管を使いました。B管だとシャープが多く、高音域を吹くと音圧がかかり過ぎて苦しそうな音色になりがちなのが、D管だと運指や音のつながりも楽になるので、音色もよくなりますね。 井上 レスピーギの「ローマの祭り」でも、特殊管があると、すごく楽です。それに、高音域で木管楽器と音色をブレンドさせたいときに、ピッコロだと楽にできる。高音が出ないからピッコロを使うのではなく、音色のバリエーションを増やすために使うことも有効だと思います。 本間 吹奏楽でピッコロが指定されている曲だと、スミスの「華麗なる舞曲」や、マーゴリス編曲「テレプシコーレ」が有名ですね。最近佼成ウインドで演奏した曲では、マスランカの「交響曲第4番」が あります。また、佼成ウインドが開催している作曲コンクールでは、 前回海外からの作品でピッコロを2本使う曲がありました。 井上 ピッコロなどを使うメリットは2つあって、トゥッティの中でより輝かしい音を出せることと、高音域でも木管楽器にうまく溶け込めることです。吹き分けるのは 簡単ではありませんが、練習をすれば高音の安全性が高まるので、特殊管の楽さを利用して柔らかく吹ける。また、トゥッティでは、1stのひとりがピッコロで吹くと、高音の響きがすごく綺麗に聴こえる。B管より管が短い特殊管のほうが、響きの上に乗りやすいというメリットがあるからです。 |
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| アンサンブルに色彩感を加えよう | |
井上 僕は金管アンサンブルでも特殊管を多く使います。特にバロックで、もともとinDで書かれて いるバッハなどは、譜面がinBだとしても、上のパートはピッコロやEs/D管を使ったほうが華やかな音色になります。バッハのオルガン曲を金管10重奏で演奏したときに、1stをピッコロ、2ndがEs管、3rdと4thはB管の編成にしましたが、サウンドの色彩感がとても豊かでした。 本間 そうですね。バロック時代の曲は、もともとナチュラル・トランペット(ヴァルヴが開発される以前のトランペット)やツィンク(古代の角笛に起源をもつ、ルネサンス期の楽器)のための作品で、それらはオーボエと同じくらいの高音域を演奏する楽器でしたから、現代のB管で高音を吹いて苦しそうになるよりも、ピッコロ で軽やかに自然に吹くほうが、より音楽的に演奏できると思います。 井上 アンサンブルでは、「テレプシコーレ」などでピッコロの使用は定番になっています。アンサンブルで特殊管に慣れておいて、吹奏楽の中でも使うというのも、いい流れだと思います。 本間 アンサンブルは特殊管のニーズが多いですから、いいきっかけになりますね。 |
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| 特殊管を選ぶポイント | |
井上 特殊管には音色の個性が強いものが多いですが、ストンビはソリスティックにも吹けて、オーケストラのサウンドに溶け込むこともできる。両方の音色を兼ね備えているのがいいですね。僕はピッコロとEs/D管には、ストンビの“エリート”をオーケストラでも使っていますが、反応のよさが素晴らしい。音程もいいですね。ですから、B管からの持ち替えも楽です。 本間 “マスター”オルガンとのコンサートや金管アンサンブルに使用しましたが、ピッコロとしては柔らかい音色も出しやすいので気持ちよくスムーズに吹け、音程のクセがあまりないので、神経質にならずに自分の自然な音程の感覚で吹けますね。最近出た“タイタン”はトリルや装飾音符での音切れが素晴らしく、各音がはっきり聴こえるのが印象的です。また、しっかりした音色で、吹奏楽の中で力強く鳴らしても、軽薄にならずに遠くまで響くと思います。 井上 ストンビはピッコロに3種 類のラインナップがあり、それぞれに特徴があって、“エリート”から“タイタン”、“マスター”と上級機種にいくに従って抵抗感が増し、音色に深みが出てくる印象ですが、学生やアマチュアの人には、“エリート”特にお勧めです。吹きやすくて音程がよく、値段も手ごろなので、コストパフォーマンスがよい。僕も愛用しています。 |
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| 特殊管上達のためのアドバイス | |
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| 練習のポイント 「ピッコロなら誰でも高音が吹けると思いがちですが、実際はB管で出せる音域とほとんど変わりません。B管で息の使い方ができていないと、やはりピッコロも鳴らせないので、まずB管で高音域まで練習します。ピッコロに持ち替えたらスケール練習でしっかり高音まで上がっていけるかを確認し、そのあと曲を練習します」(井上)「ピッコロではタンギングを使った きらびやかなパッセージが多いので、クラークの『テクニカル・スタディズ』をタンギングで練習します。B管がアルト歌手だとすると、ピッコロでの意識はソプラノ歌手。 ピッコロの音域を自分のセンターに感じるようにします」(本間) ![]() |
演奏のコツ 「明快な発音、全体の響きの中におさまる柔らかさ、ソロでの華々しさなど、さまざまな音色が必要なので、その場にふさわしい音のイメージを奏者がもっていることが大切です」(井上)「吹奏楽やアンサンブルで使うときは、曲中での持ち替えがほとんどです。でも、B管から持ち替えたときに、息の圧力をかけすぎると耳につく音色になってしまうので、息の加減が重要です」(本間) ![]() |
| マウスピース選び 「ピッコロは、バロックなどで明るく華やかな音を出す場合には、小さめで浅めのマウスピースがいいと思いますが、B管と比べて1サイズ程度でよいでしょう。吹奏楽では、管とB同じサイズのマウスピースを使って、息が入りやすいセッティングにしたほうが、音色も太くなり、よい場合が多いです」(井上、本間) |
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